好きでした。ずっとあなたが好きでした。



「ち・・・」

どぉして?遠くにいっちゃう・・・。大地・・・。



 “じゃぁな”


「大地っ!!」

桜は目を覚ました。見上げると目の前には天井。

真っ白な天井・・・。何もない。あるのは光だけ。

まるで世界の中に一人ぼっちのように。

心の中にぽっかりあいた自分。
それがなんなのかも、そのころはわからなかった。

桜はゆっくりベッドから起き上がる。自分の両手を見つめてみた。

「夢・・・か・・・。大地―――・・・」





五限目―――体育。

運動会練習。組み体操。


体育館の中に太鼓の音が鳴り響く。

リズムよく、何度も聞いたので
耳にたこができそうなくらい頭の中に叩き込まれている。

桜と真意は、組み体操練習のために体育館へ向かっていた。

「あーぁ・・・。めんどくせぇ~・・・
 なんで五限目体育なんだよ。
 給食食った後じゃん!めっちゃ腹痛くなるわぁ~」

「知らないよそんなの」

のろのろと廊下を二人で歩いていたとき、前から笑い声が聞こえてきた。

桜と真意は後ろを見てみる。
すると有名な同じ年のカップルが二人で歩いていた。

「真意!あれ誰?」

「えっと・・・女が『桜田美里』で・・・男が『鈴村健吾』」

桜はそのカップルをじっと見る。
なんだか見ているうちにうらやましくなってきた。

いいなぁ・・・。うちもいつか大地と・・・。

「ちなみに祐也とあたし☆キャーッ」

「いーかげんにしろ。」

桜は真意の頭を軽く叩く。

真意はいてっといいながらも笑っていた。
そのとき次のカップルがきた。

「桜、桜!三組目のカップル!」

「って自分から自分をいれるな」

桜はまた真意の頭を叩く。
真意は気にせずカップルをじーっと見ていた。

「あれはたしか・・・女が『高木亜梨菜』男が『鷹藤凛都』」

「ああ!あの超美系美女カップルかぁ~!ぃぃょねぇ~」

「おっ」

「え?次、誰?」

桜は真意につられ、真意の目線にそってみてみる。
すると目の前には祐也と・・・大地が一緒にいた。