「食べてみて?」


「いただきます。」


こういう事
ちゃんと言えるところ
素敵だな~なんて思いながら
颯人の反応を待った。


「…どう?」


「…うま。めちゃくちゃ。
莉子やべーな。」


褒められた。


颯人は3切れあった
パウンドケーキを
一気に平らげた。


「ごちそーさん。美味かった。
ありがと。」


そう言って頭をポンと撫でられ、
颯人の笑った顔を見た時、
やっぱり好きな人に
何か作って渡すっていいなって思った。


「どういたしまして!」


これくらいならいつでも作るよ。
颯人が喜んでくれるなら。


「次はクッキーね。
あ、固いのじゃなくて
ちょっとやわらかめのな。」


颯人の要望に応えるために
次のデートまでに
好みのクッキーが作れるように
なるように練習しようと
密かに決めた。