だけど、手を繋いで歩いていても
颯人へ向けられる
女の子の視線は相変わらず多い。
まるで隣にいる私の事なんか
全く気にしていないみたいに。


今も、ほらギャル3人組が
こっちへ近づいてきている。


スッと横を通ろう。


そんな思いも虚しく
リーダー的な女の子が
颯人の肩にぶつかった。


「あ…っ!ヤダごめんなさい!
大丈夫ですかぁ?」


どっから出してんの?
って思うくらいの
高くて耳に響く甘ったるい声。
しかも絶対わざとぶつかって来たでしょ。


だけど、私は美桜みたいに強くない。
『触らないでください』なんて言えなくて、
悔しいけど、目を反らす事しか
出来なかった。


”嫌だ”そう思うのに
声にはならなくて
目をギュッと瞑った時。