…開いた口が塞がらない。
鳩が豆鉄砲をくらった。


今の私にはそんな言葉が
ピッタリだと思う。


「なにそんな口パクパクさせてんの?
なに?チューして欲しいの?
そんなのいくらでもしてあげるけど。」


そう言って近づいてきた
颯人君の顔を思いっきり
押し返した。


「…なに。」


不機嫌な声。
なにって…


「そ、それは私のセリフでしょ!?」


え、どういう事?
いきなり豹変しましたけど。


…まさか


「だってああでもしないと
莉子は素直に俺の事
好きだって認めないでしょ?
一緒にいれば
俺の事好きだっていう事
バレバレなのにさ。」


口角をあげて
楽しそうに笑った顔に
ようやく気付いた。


…ハメられた。