一途彼女×S系彼氏

私がこうして悩んでいる間も
どんどん私と阿久津君の
顔の距離は近づいてきていて、
答えは1つしかなかった。


「は、颯人…くん…。」


名前を呼ぶ方が
断然超えるのに低い壁だった。


「ん。よく出来ました。」


すると満足したのか
いつもみたいな爽やかな笑顔に戻って
私の頭をポンッと
優しく撫でた。


触れられた頭のてっぺんに
全身の熱が集まるような気がした。


きっと今、私は信じられないくらい
顔が真っ赤だと思う。


そんな私を気にしないかのように
サラッと手を繋いで歩き出した。


「ちょ…っ、手!」


「嫌?」


私の心を見透かすような
そんな表情。


私はその問いに答える事が
出来なかった。


…だって、嫌だと思わなかったから。