一途彼女×S系彼氏

「…手。」


目を俺が繋いでいる手に向けて
一言、小さく呟いた。


はっきり言ってくれないと
分からないよ、莉子ちゃん。


「手?手がどうかした?」


俺がそう言うと
とうとう莉子の目から
涙が溢れた。


「…わ、たし以外の
女の子に、触れちゃ、嫌だ…。」


……あー、もう俺がギブアップ。


こんな可愛い顔
他の奴に見せるかよ。


「俺、抜けるから!」


何処の誰に放ったか分からない
言葉を残して教室を後にした。


もちろん、
莉子の顔が見えないように隠しながら。