「…でさぁ、そのときの社長、転びそうになった高橋さんのこと片手で受け止めたんだよ!本当かっこよかったわー」

「ふーん、そうなんだ」

「蜜香、なんか今日社長の話に食いつき悪くねぇ?」


鬱憤晴らしに飲みに来たはいいものの

まさか悩まされてる張本人の名前が出るなんて反応に困る…

それにふたりには結婚のことも話してないし。


「やっぱなんか悩み事でもあるの?ほら、虎竹!あんた男なんだから蜜香を慰めなさい!」

「いってぇ!背中叩くなよゆめ…でも、確かに今日いつもより元気ないよな。彼氏となにかあった?」


…彼氏との悩みならまだ良かったよ。

社長と訳あって結婚しちゃって毎日が憂鬱なのっ、なんて言えるかぁ!


「ねぇ、ふたりとも。もし…もしもだよ?社長と結婚できるとしたら…どうする?」



「はい?」

「は?」


いや、ごめん。

虎ちゃんに聞くのは間違いだったな。


「え、なに…っ!?悩みってまさかそっち!?」

「蜜香まじか…彼氏がいるのにあの社長に本気で…」

「あー違う違う、好きとかそんなんじゃなくて!あんな完璧人間と結婚できるとしたらみんなどう思うのか気になっただけだよ!」