オネエが野獣になるときは。



「つれないわぁ~新婚なのにっ」

「…で、用件はなんですか」

「すごいスルーね。んま、いいわ。そういえば私、大事な話してなかったなーと思って」

「大事な…話?」


…あ、まただ。

お父さんからの電話のときにも感じた、あの妙に嫌な予感がする。


「私とあなた、新婚でしょう?それなのに別居は悲しいじゃない。だから…」


そう言うと、チャリッと音を立てて社長は指でひとつの鍵を回した。



「今日から支倉ちゃんは、私の家に住みなさい」



「…へっ?」

「あなたの荷物、もう既に私の家に送ってもらったから。今日は一緒に帰るわよ」


…はああああ!?


「ムリムリムリムリ!絶対ムリっ!」


いきなり何を言い出すかと思えば、社長と同居!?

本当何考えてんのこの人!!

あまりの爆弾発言に私は思わず彼と距離をとるけど、その距離は一瞬で詰められる。


「支倉ちゃん、私はオネエよ?心配いらないわ」