別れても好きなひと

「大悟を指名した人のリピート率、9割を越えてるんだよ?予約がなかなかとれないのに。今毎日お客さんと真剣に向き合う大悟と、戻ってきてくれるお客さんがちゃんと繋がってる。そこにもう答えがあるじゃない。意味ができてるじゃない。」

「………」

「無駄じゃないよ?意味がちゃんとあるよ?本当は大悟だってわかってるはずだよ。」

「………」

私は振り向いて大悟を見た。大悟も私から目をそらさない。

「おかえりなさい。大悟。ありがとう。」

「莉子…。」

「なんてね。ただ私が髪を切りたかっただけなんだけどね。しかもただで。」