別れても好きなひと

「いいから切って。」

私の言葉に

「分かった」

大悟は私をカット用のイスに座らせた。

そこからはあっという間だった。魔法にかかったかのように私の髪がカットされていく。大悟の指が触れる度に自分までキラキラとして来るような魅力的な光景。

やっぱり大悟が1番輝けるのはヘアメイクしているとき。大悟を励ますつもりが、3年前の自分の決断が間違えていなかったのだと思える瞬間だった。気を抜いたら泣いてしまいそう。そんな自分を必死に隠した。