別れても好きなひと

「スタイリストとして地位は築けたのに、いつ崩れるかわからないことにびびって…。心から美容を楽しめなくなって…そんな自分がもっと怖くなって、日本に来た。でも結局わかんないままなんだよ。俺はここでなにができんだろ?」

「………」

「なんてな。悪い。お疲れ!」

ごまかして笑う大悟を見ていられなくて私は自分でも驚くほどのスピードで大悟の腕を引いて接客フロアに向かった。

「切って。」

「は?」