「私たち夫婦も今まで色々なことがありました。この先も何があるかはわかりません。私たちは夫婦だからあたりまえにずっと一緒にいられる、とは限らないことを知っています。だからあなたの気持ちもわかるんです。妻もわかっているんです。」
私が伝えたいことを大悟は言葉にしてくれる。

「もっとはやくお互い歩み寄れたらよかったと後悔しています。義父が生きているうちに。でも亡くなってしまいました。変えられない事実です。だからこそ私たちは生まれる命もお互いの人生も大切にします。尊重しあいながら、ときにぶつかりながら、大切に大切にします。」
高畑さんはただただ頷く。

「妻も私もあなたをまだ受け入れられません。義父があなたをどう思っていたかもわかりません。でも、義父があなたを大切にしていたことはわかります。」
高畑さんはまた顔を覆い泣き出した。

「義父が大切にしていたあなたにはこの先も幸せであってほしいと思います。心から。」
私は大悟から離れて正面に座る顔を覆い泣く高畑さんに近づき手を握った。