「どこも痛くないか?お腹は?」
と、まだ心配している大悟に「大丈夫」と伝えて私は正面に座る人を見る。

「未練がましくてごめんなさい。高畑美知子といいます。杉崎さんには…お世話になって…。」
そこまで言うと高畑さんは顔を覆って泣き始めた。

「お葬式の時はごめんなさい。あなたに失礼な態度をとってしまって…。反省しています。」
高畑さんは少し泣くのが落ち着くと私に頭を下げた。

からになった実家の中を私は見渡してから高畑さんを見た。
「父のこと…まだ…?」

私の質問に高畑さんは小さく頷いた。