「突然ごめんなさい。昨日までパリにいたんです。」

「そうですか。お忙しいんですね。」

緊張している彼女に笑顔を向けると彼女は眩しいくらいに笑った。

「ずっと想像していたんです。彼の心を掴んだあなたの存在を。」

彼…大悟のことをそう呼ぶんだ…。

「率直にいいます。彼と半年後はじまる私のパリのファッションショーを作り上げたいんです。私の横に立っていっしょにショーの要に、軸に、柱になって欲しいんです。」

彼女はまっすぐに私を見る。

「彼は私のデザインとモデルを繋いでくれる唯一無二の存在です。それでもその中に彼自信の個性も出せる。彼以外いません。そんな人。」

唯一無二。大悟にもそう言ってもらったことがある。
美容学校のショーを思い出していた。

あの時のきらきらした、いきいきとした大悟の姿を。