「私も逃げてたのかも。見たくない現実から。そのまま死んじゃうなんて…。」
大悟が私の手を握る。

一人だったらこの状況に耐えられなかった。
この手が私を繋ぎ止めてくれていることを実感した。


実家に着き駐車場から玄関へ向かうときグラッと私の体がふらつくのを「莉子っ!」と大悟が慌てて支えてくれた。

「大悟…そばにいてね。」
「いる。大丈夫。一緒だ。」

力強い大悟の言葉に私は覚悟を決めて実家に入った。