お嬢様は恋を知らない

「……麗さま。ごめんなさい」

迷惑ばかりかけて、本当にごめん。

「助けてくれて、ありがとう」

麗さまは微笑んで、私の頭をやさしく撫でた。

「よくできました」

「やっぱり、麗さまのことが好き」

そう言って抱きつくと、麗さまもぎゅっと抱きしめてくれた。


うるさいくらい響く私の鼓動がバレていないか不安だったけど、麗さまも同じくらいドキドキしていたみたいだから、大丈夫だよね……?


風に舞う桜の花びらと、瞬く星の下

私たちの鼓動だけが静かに響いていた。