お嬢様は恋を知らない

最後の力を振り絞って、思いっきり叫んだ。

「麗!! 助けて!!」

次の瞬間、私の目の前にいた男の人が勢いよく倒れた。

「な、なんだよ! お前!」

「お嬢様!!」

「麗……」

私の力の無い声に、麗さまは唇を噛み締めて、氷のように冷たい視線を彼らに送った。

「私の大切なお嬢様に手を出すとは…あなた方の勇気に拍手を送りましょう」

そう言って麗さまはパチパチと手を叩いた。

「は?」

「しかし、その小汚い手でお嬢様に触れるとは、どんな神経をしていらっしゃるのでしょう? 有名な脳神経外科医を紹介して差し上げましょうか?」

「ごちゃごちゃうるせぇな」

相手が拳を振り下ろすよりも先に、麗さまは彼のみぞおちに一発。

そのあと残りの2人に向き直ると、麗さまの気迫に圧倒されたのか、逃げていった。