すると、廉がわたしの頬を伝う透明な雫をぺろり、と舐めて、こちらをジッと見つめてきた。
突然のことに涙も止まってしまった。
ドクン、ドクンと鼓動だけが大きな音を奏でている。
「しょっぱい」
たった一言、それだけ言った。
涙については何も触れてこなかった。
それが廉の優しさだということにもわたしは気づいていた。
それでも、ただ鳴り止まない鼓動を抑えようとすることに必死で、廉がこのときどんな顔をしていたかなんて見ていなかった。
「舐めるなんて、汚い」
「聖那の全部が俺は欲しいからな」
「何言ってんの」
「こんな無駄に強気な女のどこがいいんだか。俺も変わってんなあ」
「別に好きになってくれなんて頼んでないし」
どうせ、廉もわたしを捨てるんだ。
誰もわたしなんかを大切になんてしてくれない。
期待しても無駄なんだよ。
「頼まれなくても好きになってるっつーの」
そういうと、わたしの頬に残っていた涙の跡にちゅっ、と短いリップ音を部屋に響かせた。
それと同時に再びわたしの鼓動が早鐘を打ち始める。
廉は、ずるい。



