「ていうか、なんで来たの?」
わざわざ、こんなところまで来なくていいじゃん。
「だからお前に会いたくて来たっつってんだろ」
「……は?」
本当に?本当にわたしに会いきてくれたの?
出会ったのは一昨日なのに、わたしと廉の距離は急速に縮まっているような気がする。
「嫌とか言わせねえからな」
「え、嫌じゃないけど……驚いたというか……」
「うん。驚かそうと思ってたもん」
「ほんっとひどい」
ペシっ、と廉の肩を軽く叩いた。
こんなに急に来たら驚くし、心臓がバクバク音を立てていてうるさいくらい高鳴っちゃってるよ。
別にこの気持ちに名前なんて、ない。
ただ驚いているだけだよ。
「もっと可愛い反応出来ねぇの?来てくれて嬉しいっ♡とか」
「気持ち悪い」
「はは、言うねー」
クスクスと笑っている廉をみて、わたしたちに視線を向けている人たちが少しだけ黄色い声を上げた。
ちょっとかわいいもんね、廉が笑っているところ。
つい先程までは無愛想に突っ立っていた人がこんなふうに優しく笑ったら誰だって黄色い声を上げたくもなる。



