はあ……めんどくさい。

なんでわたしばっかりこんなことしなきゃいけないんだろう。

本当に気が重い。

だけど、昨夜の出来事を思い出すとなぜかフッと心が軽くなるような気がした。

持っていたシャープペンを机に置いて、ジッと自分の手を見つめる。


手……繋いだんだよね。


おっきかったなぁ。あったかかったなぁ。

あのときわたしはなぜかは分からないけどすごく、すごく安心したんだ。

今まで満たされることのなかった孤独が少しだけ埋まったような、そんな気持ちになった。


それから日誌を書き終えて、黒板も綺麗に消して昇降口へと向かった。

靴を履き替えようとローファーに手伸ばした瞬間、後ろで聞き覚えのある声がして、反射的にそちらに視線を移してしまった。

私の視界に映ったのは黒髪で爽やかな男の子と小動物のように小さくてかわいい女の子が仲睦まじそうにしながらこちらに向かって歩いてきている光景だ。