寂しくはない。もうこんなの慣れた。

わたしは昔よりも強くなったんだ。

だから、一人でも生きていける。

誰の力も借りない。誰も信じない。

もう辛い思いはしたくはないから。


そんなことを思いながら歩いていると、少し先に人が座り込んで壁にもたれかかっているのが見えた。


怖いな……でもあの人の前を通らないと帰れないし。

恐怖を抱えながらも人の方へと歩いていく。

近づいていくうちにその人は男の人だということがわかった。それに、口の横からは血が出ている。


喧嘩でもしたのかな?大丈夫かな?


通り過ぎようと思っていたのにどうしようもなく彼が気になって駆け寄ってしまった。

すると、彼は驚いたようにこちらをみた。

その瞳に色はなく、とても深い闇のようなものを感じた。思わず、ゾクッとしてしまったけどカバンから絆創膏を取り出してそっと差し出した。