「真白、それでこれからどこ行くの?」
「うん、いつもの所でもいい?」
「いいよ、じゃあ行こっか」
あたし達は家の近くの見慣れた坂道をゆっくりと登って、小さな公園に着いた。
公園といってもブランコとベンチしかないくらいの小さな公園。
昔から、朔とよく来ている思い出の場所。
「ねぇ、朔。あたしのこと好き?」
そう聞いてみれば、
「うん、好きだよ」
朔は必ずそう答えてくれる。
でも、これで朔の口から好きと聞けるのももう最後か…。
そう思うとなんだか悲しくて、ちょっと泣きそうになりながら俯いて涙をこらえた。
そして、ふと朔の顔を見てまた思う。
やっぱり好きだなぁって。
笑うと片方だけできるえくぼも、優しい声も、薄茶色でサラサラした髪も、困ると首の辺りに手を持っていく癖も。
見れば見るほど、好きだって気持ちが溢れてくるから辛い。
ちゃんと、言わないといけないのに。
ほらっ、いつまでうじうじしてんだ。
覚悟決めろ。
あたしは心の中で自分に喝を入れてから、決心を固めて顔を上げた。
「朔…あのさ、」
「何?」