―零―雨上がりの夜

(颯太side)
どうも。橋下 颯太だよ

ゆづるには用事があると言って外に出て行ったけど

あれは嘘。

ゆづるを尾行する為だったんだ。

案の定ゆづるは15分経っても出てこなかった

だからさっき別れた所に戻ってみたんだ

その廊下には誰も居なかったけど

空き教室のはずなのに僅かに光が漏れていた

まずカーテンが閉まっていること自体がおかしい。

先程の会話で何か違和感を覚えていたが

どうやら当たりのようだった

ゆづるは転校して間もないのに空き教室については

やけに食らいついて来た。

それを不思議に思ったから尾行したって訳。

何やってるんだろうか?

空き教室のドアを開けようとしたが…

「鍵が掛かってる…?」

しかもそのドアの物では無い。

新しい物だ…

おかしい。

「ゆづるは何がしたいんだ?」

仕方ないのでドアに耳を当て

中の音を聞いてみた

「__もらうよ…橋下颯太___」

「…っは?」

僕はゆづるに苗字を名乗っていないはずなのに

なぜ知っている?

最後しか聞いていなかったから何をもらうのか

分からないが嫌な予感がする…

そんな事を考えていると

ドアに近づいて来る音がした。

僕は慌てて窓から飛び降り

静かに校門まで歩いた

まるで今まで校門で待っていたかのように

きっとゆづるは気付いていないだろう。

学校の人には言っていないが

これでも元スパイ兼執事だ。

修行時代に忍びの技術は学んでいる

刑事の息子らしからぬ特技だけどね(笑)

少し探ってみるか…