流れで強引に手当てしてしまったけど、これでよかったのかな。
実はキモっとか思われてね?

いきなり泣き出すからびっくりした。
そして、泣いてる遠野がかわいくて……変な気分になった。
長い睫毛に涙がついてるのを見てたら、なんつーか……こんな時に不謹慎なこと考えてごめんなさい。

しかし、俺に対していつまでも敬語なんだけど、やけに他人行儀だな。
クラスメイトなのに。
俺が変なこと考えてんのがバレて、警戒されてるんだろうか。
でも、好きな子と二人でいたら、男はみんな考えるだろう。

「なあ、遠野」
「は、はい」

話しかけたら、びくんと驚かれてしまった。
俺は器具を片づけつつ、ちょっと傷つきながら、話を続けた。

「あのさー、敬語いらねえし……」
「あっ、そう……だよね、なんか、つい……」

遠野ははにかむように笑って、恥ずかしそうにまたうつむいてしまった。
うつむくとさらさらと黒髪が落ちて、潤んだ瞳と桜色の頬が隠れてしまった。
もったいねえ……。
もっと見たいのに。

「ありがとう……みんな帰っちゃったのに、ごめんね」
「いや、置いて帰れねーし」
「ごめんね……」

またうつむいてしまった。言い方キツかったかな……。
ただ、心配だから一緒にいたかった事を伝えたかっただけなのに。