帰宅をして玄関の鍵が開いている事に気付く。
部屋に入れば案の定男の子がいた。

「あ、おかえり」

毎日のように家に上がり込んでは私のベッドで
くつろいでいる。

出会った日から約一ヶ月ぐらい…。

もはや同棲してしまっている。
いや、正確には朝起きたら隣にいるのだ。

「今日もいるんですね」

警察に通知することも諦めて自分だけでこの人
を何とかしようと何度も考えた。

けれどもなにをしてもこの人には通用しない。

私の気持ちなんて知らない男の子はいつもの様
に優しそうな。怪しい笑みを向ける。

一ヶ月、この人といて分かったこと。

私に危害を加えたりと害悪なことはしないので
ついストーカーということを忘れてしまう。

だからなのか、恐怖は感じないし最近では感覚
が麻痺してしまったのか安心…する。

なんだか、いやだ。

この人との生活に慣れてしまっているのが。

「あ、そう言えば明日バイト休みだよね」

思い出したように言う男の子に軽く頷く。

この人は私のことならなんでも知っていそうで
目が合う度に少しだけ怖くなる。

その瞳で全てを見透かされてしまいそうで…。

「スイーツバイキング行かない?」

「いえ、結構です」

目を逸らしてわざとらしくため息を吐く。

一緒に行くことで私の感覚がおかしくなってし
まいそうだから。

男の子に向かってにこりと微笑んで嘘をつく。

「明日は友達と会う予定だから…」

ごめんねと一言いえばニヤリと怪しい笑みを浮
かべて頷く男の子。