犬猫ポリスの恋日常


「……千歩、俺のジャケットのポケットにあるもの出して」

秋人は血痕がベットリ染みついたジャケットを指さして言う。

千歩は「うん」と返事をして、ハンガーにかけられた彼のジャケットに手を入れた。

出てきたのは小さな白い小箱。

「それをこっちに……」

秋人はそう告げると、傷付いた横腹を押さえながら起き上がろうと身体を動かした。

その身体をすぐに千歩が支える。

「無理しないで」

「大丈夫……」

千歩に心配かけまいと秋人は柔和な表情をしてみせる。

秋人は知歩から白い小箱を受け取ると、それをゆっくり開けた。

中にはキラキラと光るダイヤの指輪が入っていた。

あらかじめ注文しておいた指輪を休憩中に受け取りに行っていたのだ。

その帰りに事件に巻き込まれた。