「……結婚してください」
千歩はこの一言を囁くように口にする。
あまりにか細い声で秋人にはよく聞こえなかったのか「い、今……何て?」と聞き返した。
「秋君、私と結婚してくれませんか」
今度はハッキリと告げた。
秋君の事を守りたい。
ずっとそばにいて支えていきたい。
彼がそれを許してくれるのなら――…
「急にどうした。もしかして、署内で噂になってること気にしてるのか?」
「違うよ。ずっとずっとそう思ってた……」
そう。小さい頃からずっと……
高校生だった秋人が彼女を家に連れてきた時だって、千歩がまだ子どもで相手にもされていなかった時だって、この気持ちだけはずっと変わらなかった。
だから、どうか許して欲しい。
これ以外の未来は考えられないの。



