これ以上からかうとロクな事にならないと知っている林は、早々に頷いて「了解です……」と引き下がる。

秋人はフンと仏頂面でタバコを吸い続けた。


『警視庁より各局、警視庁より各局……』


和やかな空気を打ち消すかのように無線が響く。

先ほどまで腹を抱えて笑っていた林も表情を引き締めて無線に耳を傾ける。


『……三丁目十番地の路上で傷害事件が発生。被疑者逃亡中。……三丁目十番地の路上で傷害事件が発生』


本部からの連絡を聞き入れた秋人は、車内に備えられている無線機を持ち「了解」と返答し、窓を開けて赤色灯を掲げる。

けたたましいサイレンと共に車を一気に加速させて、二人は現場に急行した。




No.04 ポチのお話 Fin.