ガックリと肩を落としていると、離れた場所から再び銃声が響き渡った。

その後、周りから「わぁ……!」という歓声のようなものも聞こえる。

銃声だけが響き渡る射撃場では珍しい光景だ。

その中心にいるのは、NY帰りのエリート様の秋人だった。

「猫島さん、すごい!」

「さすが、NY帰り。やっぱ経験の違いか……」

男女問わず一目置かれている秋人。

彼が撃った拳銃の弾はほぼ狙い通り、的のど真ん中を射止めているのだから当然だ。

どんなに褒められても喜ぶわけでも謙遜するわけでもない。

ただ、それが当たり前――…

そう言うように、秋人はまた拳銃を構えて的を狙う。

射撃訓練でこんなに優秀な成績をおさめたならば、千歩は一目散に麻衣子と秋人に自慢しに行くだろう。