千歩は気が済むといそいそと寝室に入っていった。
とにかく、今夜は寒いのだから。
秋君、ちゃんと温かくしてるかな……
温もった布団の中で千歩はふと考える。
仕事に夢中になると自分の事はそっちのけだから少し心配だ。
意地悪しないでお茶の一杯でも持って行ってあげれば良かったかな……
隙あらば、良心が割り込んでくる。
惚れた弱み。
千歩はブルブルと首を横に振って、良心を振り払う。
枕に顔を埋めながら「千歩のバカ、アホ、間抜け、おたんこなす」と思いつくだけの罵倒を自分自身に浴びせた。
それでも、横に誰もいないダブルベッドはものすごく寂しい。
ひんやりとしていて、なんだかスース―するみたい。
お互い警察官で時間も不規則だからいつも感じていることだけれど、こればかりはいつまで経っても慣れないものだ。



