「―――――……は?」
21時に閉店。
その後スーパー内の清掃をして事務所に行くと、待ってましたと言わんばかりに灰皿に煙草を押し付けて抱き着いて来ようとしたヒト科を一旦床に沈め、隅の更衣室で着替えを済ませた。
事務処理を手伝おうと店長に近付く途中、ヒト科に手首を捕まれ、あれよあれよという間にスーパーから自転車屋。
ヒト科にずるずると引き摺られている時に見えた店長がこちらに暢気に手を振っていたので、明日辺りとりあえず呪おうと思う。
そうして自転車屋の2階へと、抵抗する気力もなく背中を押され辿り着いた時。
「ナニコレ。」
思わず目を疑う光景がそこにはあった。
「あー!いろは姉ちゃんだぜ、タクミ!」
「え? あ、ホントに来たんだ!いろは姉ちゃんやっほー!」
「うるせぇガキ共!何でまだ居んだよ! 帰れ!ガキは帰ってさっさと寝ろ!!」
「なんだよカイリ!お前が俺らに飾り付け頼んだんだろー!」
「そうだよ!俺ら頑張ったんだから居てもいいじゃん!」
「俺が頼んだのは飾り付けだけだ!その後も居ていいなんて許可した覚えはねぇ!」
四畳の部屋にこたつ。部屋の隅に小さなクリスマスツリー。こたつテーブルの上にはビール、日本酒、チキン、スルメ。窓や天井には手作りの飾り付け。
和洋折衷の空間に、騒がしい子ども2人とヒト科。
………なんだろう、今すぐ帰りたい。