そうこうしている間にも店長が顔を出す。「鳳さん、浬さんもお客様なんだよ?」プンプン窘めてくる店長の声も右から左。

全くもって聞く耳を持たないわたしを見て、今度は店長が泣きそうな顔でヒト科に視線を送っている。




「そうだ。お姉さんに見せたいモンがあるんだわ」

「なに」

「いいから後で俺んち来いよ。な?」

「ヤダ!」




ぶんぶん首を振って全否定するわたし。帰ってからのビールとスルメが至福の時間だっていうのに、又もやこのヒト科に邪魔されてなるものか!




「しょうがねぇなぁ。店長、いろはが終わるまで俺事務所で待っててい?」

「えー。浬さんってば――」

「わかった!行くから!だから先帰って!!」