――――と、そのとき。



「あーもーカイリやっと来た!俺もう帰りたいんですけどー」

「!?」

「おー、悪い悪い。今日はアタリが良くてさぁ」

「早く約束のプラモ渡せよ、……って。ダレ?」






店の中から飛び出してきたのは、小学校低学年くらいの男の子で。

元気いっぱいにダボダボスウェット男に絡みついたと思えば、その真後ろに控えるわたしを見付けたらしくキョトンと目を丸くしていた。



「………えっと……?」





おおっとわたし、待て待て待て。何だか嫌な予感的なものを膨大なほど感じるぞ、うん。

まさかこの男(ヒト科)、子持ちのくせにわたしを口説いていたんじゃ―――





「さんきゅーな、うん。えっと……タクロウ?」

「バッカちげーよ、俺タクミだって!」

「明日も来れる?」

「あー明日はムリかな。ダチに頼もっかー?」

「ああうん、じゃあそれで」







わたしに対して「ダレ?」なんて聞いていたくせに、3秒も経てばその疑問すらも忘れてしまったらしい小学生。

なんだこれは。どうなっている。


わたしの脳内が疑問符で埋め尽くされる中、男(ヒト科)からガンダムのプラモデルをもらったらしい男の子は笑顔で走り去っていった。