詳しい症状を説明する声に一瞬ギクリと焦りもしたけど、まあ胃ガンとかではなさそうだねと言うから安心し、十二指腸辺りまでカメラを進めて確認し終えると、「慢性胃炎だね」と診断を下され、取り敢えずは二週間、処方する薬を飲むように…と指示された。


「あ、ありがとう…ございます」


どうもやっぱり同級生には見られたくもない場所を検査され、半ば恥ずかしくなりながら診察室を出ようとして椅子から立ち上がる。

ドクターの今泉君は私の方を振り向くと、はい…と軽く返事をして、お大事に…と声をかけ、ああ望月さん…と呼び止めた。


「はい?」


振り返ると白衣を着た相手は微笑み、ストレス溜めないようにしなよ、と言ってくる。


「ストレス…」


その言葉を呟くと向かい側にいる相手は頷き、それが胃炎の原因にもなるから…と説明した。


「のんびりと気を長く持つ方がいいよ。カリカリしたり、悩んだりするのが一番体に良くない」


簡単にアドバイスをすると、もう一度お大事に…と告げ、私はぎゅっと唇を噛むと無言で踵を返して診察室を出て行った。