イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

「え？髪？」

「そう。長かったろ。中学の頃」

「ああ、そう言えば」


そうねぇ…と過去を思い出して上目遣い。


「どうして切ったんだ？長かったのに」

「うん、よく覚えてるね」


感心…と言いながら笑い、特別理由があった訳でも無いんだけど…と教えた。


「小学校に勤務しだした頃に切ったんだ。最初は長いのを纏めてたりしてたんだけど、段々と面倒くさくなっちゃって。乾かすのも大変で、なかなか切りにも行けなくなったから」


やっぱり女子としてどうよ、と思うような発言をして首を引っ込める。

今泉君は私の話を聞くと、へぇーと納得し、女子は何かと大変だな、と付け足した後、でも…と小声で囁き、私は彼に視線を向けた。


「……俺は望月さんの長い髪が結構好きだったんだけど」


ポロッと溢れるように出てきたセリフに唖然とする。
彼もまさかそれが漏れたとは思わなかった様子で、「あ…いや」と視線を逸らした後、「中学の頃」と付け足した。


「そ、そう…」


そうだよね。子供の頃のことよねぇーと笑い、でも、そう言ってくれる人がいて、やっぱり少し嬉しい…とフォローする。