「あっ…」


シャーッと遠慮もなくカーテンを開けてしまったのは今泉君。
こいつとんでもない奴だと呆れ返り、何するの!と声を荒げそうにもなったんだけど。


「うん、似合うな」


可愛い可愛いと妙なくらいに褒めるもんだから熱くなる。顔だけでなく、全身にも汗をかいてる様な錯覚に襲われ、頼むからそんなに大袈裟に褒めないで…と願いたくなった。

もう…と言いながらカーテンの陰に隠れようとした。


「…あ、待てよ」


そのまま着てろ、と言うから戸惑う。

そりゃこの最近ずっと買ってなかったスカートだし、色はローズカラーで可愛いし、今着てるオフホワイトのセーターにも合うと言えば合うけど。


「すみません、これ着て行きます」


ちょっと〜、着るか着ないか、もう少し悩ませてよー!


私の焦りなど、ドクターの彼にはどうでもいいことらしい。


彼は自分のカードでさっさと私が試着したスカートのお金を払い、ついでに…と言ってファー付きのバッグまで買い、頭にはこれでも被れば?と言ってキャップまで買ってくれて、うんうんと全身コーデに満足して、嬉しそうな顔で、「可愛い」と褒めてくる。