それから診察台に横たわり、胃の働きを抑える注射をされ、麻酔薬のスプレーを我慢しながら指示通りに飲み込むと五分後にドクターが入ってきて、内視鏡のスコープを手にしながら、「はい、力を抜いてー」と言ってくる。



(いや、それ無理でしょう)


顔も知らない相手ならともかく、どう考えても同級生に胃の中を見られるなんて嫌だと訴えたくなるが叶わず、ドクターは平然とした顔つきで、スコープを私の口の中へと挿入し始めた。


初めはドキドキしてばかりいた私も、案外と違和感なく滑り込んでいくカメラに気を捉われ、モニターに映し出される自分の内部をガン見して、案外綺麗なもんじゃないの?と感心しつつ見守っていた。



「うーん…胃が荒れてるなぁ」


患者の目には綺麗に見える内臓も、医師の目から判断すると結構痛んでいるみたいな発言だ。


「特に胃の入り口付近が酷い。びらん状になりかけてるし、でこぼこしてて、所々赤くもなってる」