「……望月さん?」


具合でも悪い?と訊ねる彼が私の手首を取ろうとする。
どうも脈拍を測ろうと思ったらしく、大丈夫、と断り手を引っ込めた。


「それよりも私、今泉君がこんなにボーリングが上手いって知らなかった。中学の頃とは全然イメージも違うし、大分ビックリした!」


ドキドキしながら声がひっくり返りそうになるのを我慢する。
私がドギマギしてるのを知ってか知らずか、訝しそうに様子を窺ってた今泉君は唇を引き締め、開くと同時に立ち上がり__


「それ、こっちのセリフだから」


怒った様な声で言うから、えっ…と驚いて顔を上げる。
見下ろしてる彼の表情を見たら固くて、それを気づいたらズキン…と胸が痛くなった。


「……次、何しようか」


背中を向けて歩きだす彼。
それを見つめながら自分も立ち上がり、そうね…と返事を返しながら俯いて歩く。

どうも気まずくなったかな…と思うと、急に気持ちが沈む様な気もして、ちらっと上げた視線の先にある卓球台を見つめた。


「じゃあ次はあれにするか」


声を明るくさせて訊き返す今泉君。
どうも私が落ち込みかけてるとは思わず、卓球がしたいと勘違いしたようだ。