翌朝十時五分前、私は待ち合わせに指定されたドラッグストアの駐車場に着いた。

そこは開店前から大勢の買い物客が訪れてて、ズラリと並ぶ車の中から、今泉君の車がどれかを探し出すのは結構難しくて。


「そもそも私、彼の車を知らないって言うのよ」


あの二十四時間営業のスーパーで会った時も、彼は叔父さんの病院の車で来ていて、往診の帰りだと言い、それに私を乗せて最寄りの駅まで送ってもらったくらいだ。


だから、遅刻厳禁と言われても探してる間に時間が過ぎたら困るなぁ…とブツブツ文句を零しながら駐車場内を歩く。

場内には案外と高級車も混じってて、エンブレムを見つける度に(へぇー)と思ったり、(お金持ちはもっと高級店でお買い物しなよ)と考えたり。


(…でもまあ、ドラッグストアは値段も安くて便利だからなぁ)


この店で大体のものは揃うもんね…と納得しながらキョロキョロ探し周ってると一台の車が目に入った。


それはワインカラーみたいな色をしてて、しかも最近流行りのような渋いワインレッドじゃなく、どっちかと言うと明るいレッドで、付け加えて言うならフロントフォルムも丸くて、かなり人目を惹いて見えて……。