イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

荒治療が過ぎたか…と言いたげな相手の様子を見つめ、ますます混乱が広がり、ものもロクに言えず__。



「…あっ、終わったな」


今泉君は立ち上がると、チューブの途中にあるストッパーを止め、私の肘関節に刺してた針を抜いて指で圧迫した後、そこに脱脂綿を乗せ、テープを上から止めて固定した。


「…じゃっ、家まで送ろうか」


病院の送迎車で、と言う相手にブンブンと大きく首を横に振りながら。


「御免被るっ!」


今度は「被るな」と言われる前にベッドから跳ね起きて逃げ出す。

足元に置いてあったバックを掴んで駆け出し、出口を間違えて診察室に飛び込んだ時には焦ったけど、足をもつれさせながら何とか外へと逃げ、パタパタと走っているうちに履いてるものがスリッパだった…と気づいても、病院へ履き替えに戻る訳にもいかず__。



(…これ、どうする?)


茶色のスリッパを見つめて、コートと靴はどうする?と後悔し始め、情けなく感じながら、はぁ〜っと大きく息を吐き出した。


(やっぱり、さっきのは夢?)