よく訊いてみると、あの『今泉クリニック』は彼の叔父さんが医院長らしく、学会に出席したり、体調不良で休んだりする際には、代診をよろしく…と頼まれてるんだとか。


「俺は普段、別の病院で勤務してるんだよ。だけど、叔父さんは遠慮もなく俺を呼び付けるもんだから、少々困ってるんだ」


自分にも担当の患者がいるのにさ…と不満を漏らし、因みに今は海外旅行中で、ヨーロッパへ一ヶ月ほど行ってるんだ、と話した。


「人に仕事を押し付けてさ。いいご身分だろ」


苦々しく言って呆れ、それでもまあ懐かしい人に会えたからいいけどね…と肩を竦める。


「へぇー、そうなんだ」


それじゃ本当に偶然だったんだ…と思うと、しみじみラッキーだったな…とは感じるんだが。


（あー、マズい。本当に痛くなってきちゃった……）


キリキリと痛みがさっきよりも増してる。

若干冷や汗も浮かんでるように思うし、でも今ここで胃の辺りに手をやれば彼にも痛みがバレてしまい、気を遣わせることになって、折角の楽しい時間も台無しになる。


（なるべくそれは避けたい……）


「ねぇ…あの、今泉君」