ドアレバーに手を掛けた彼が振り向き、ドキッと胸が弾んだ。
一瞬帰るのをやめた、と言いだすのを心の何処かで期待したが__。


「あのアルバムの中、もう一度よく見て」


ニヤリと笑うとくるりと向きを変えて出て行く。
その呆気なさに、私は「え?」と疑問の声を上げるだけで、ドアはパタンと閉まってしまった。


「アルバム……?」


キョトンとしたままドアの向こうに行ってしまった彼に声を発した。
それはもう、彼の耳には入ってなかったと思うが__。