イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛

「葵、病院へ来たんだろ?」


私達の側へ寄って来ると、今泉君は窺うように声をかけてきた。


「叔父さんに電話を入れて確認したんだ。紹介状、貰ってきたんだろ?」


顔を覗き込みながら聞かれ、一応は頷いたけど。


「……でも、もう診てもらう必要はないから」


胃の調子はいいと今泉クリニックの先生には言われた…と話した。
だけど、紹介状を書いて貰ったのは、自分が今泉君に会って、ちゃんとお礼とお別れが言いたくて……。


「丁度良かった。私、今泉君に会ったら今までありがとう、と言うつもりだったんだ。
付き合いと称して、これまで私のストレス発散に付き合ってくれて、色々と仕事上でもアドバイスをくれてありがとう。お陰で教室内も落ち着き始めたし、胃の痛みも無くなってきたから」


そう言いながら、鈍い痛みを感じる鳩尾には手をやらず、だから今日でお終いね…と微笑んだ。


「もう付き合ってくれなくてもいいよ。彼女にも申し訳ないし、治療は全部終わったから」


この痛みは単なる失恋のショックだ、と自分に言い聞かせて彼を見遣る。
私達の側で、駿ちゃんはただ黙って見つめてたけど。