「ふふん、知りたい?」


クルッと振り向いた環は、ニヤリと締まりのない笑みを浮かべ、意地悪そうに訊いてきた。


「その前に、話す気はあるのか?」


先にそっちを確かめておこうとすると、彼女はウンウン…と首を縦に振り。


「だったらさっさと話せよ」


勿体ぶんな、と肩を離して促せば、ヒヒヒ…と怪しく笑いだして。


「言っちゃっていいのかなぁ〜?」


此処じゃマズいんじゃない?と微笑み返すアイツを俺は唖然として見返す。


「お前…」


何度も同じセリフ言わせんな、と言いたくなる俺の横で、回診に付き添うナースがジッと横目で睨んでくる。


「…分かった。回診が済んだら取り敢えず外科に行く」


行ったら話せよ、と言い直すと、環はブンブンと首を横に振り。


「私もうすぐ退勤時間なの。だから話はいつもの所で」


待ってるわ、と言いながら踵を返して歩き出す環。


「おい!」


それなら最初からそう言え!と思う俺は、環の背中に声をかけたが__。


「私も相談したい事あるの。だから、その時にね」