なんとか望月葵との付き合いを続けたくて叔父にそんな話を持ち掛けた。
叔父は簡単に「別に構わない」と答え、「クランケの名前は?」と訊いてくる。


「女性か?」


余計な一言に顔は見えてないと思いつつも、カッと頬に熱が帯びた。


「洸大が女性のクランケに興味を示すのは珍しいな」


人のことを何も知らないくせに、クスリと叔父は笑い声を立て……。


「名前は教えてもくれないのか?教えないと回しようがないぞ」


多分ニヤつきながら言ってるんだろうとは思うが。


「教えなくても多分わかるよ。金曜日に再診の予定だから」


頼んだぞ、と言って電話を切り、はぁーっと深い溜息を吐き出す。


「あーあ、もう」


これからって時に…と肩を落とし、葵にメッセージを送ろうかとも思ったんだが。


「やめとこう。別にこれが最後って訳でもないんだし」


呟きながらエンジンをかけ直してハンドルを切る。
月曜からまた忙しい日々が始まるぞ…と覚悟しつつ、頭では葵のことを思い返していた__。