「あの…」
「ん?」
今泉君は?と訊ねそうになり、この先生が此処の医院長なのに…と口籠る。
首を傾けて視線を向けてくる相手に冷や汗を感じ、いえ別にいいです…と断りながら、カタン…と椅子から立ち上がった。
でも。
(やっぱり彼のことを聞いておきたい!)
記念病院の内科に戻ったんですか?と確かめておこうとした。
口を開いて、あの…と再び声を発しようとしたら、私のカルテを見てた先生が「あ…」と声を出して。
「ひょっとして、君があいつの言ってたクランケ?」
「は?」
「一人慢性胃炎で通院中の患者が気になると言ってた。…ああ失敬。あいつと言うのは、代診を任せてた医師のことでね」
先生はそう言うと私の方へ向き直り、再びカルテに目線を落としながら……
「ああ、やっぱりそうか。ストレス性胃炎の可能性もあると言ってたし、多分貴女のことでしょうね。…どうします?本来は症状も完治してるようだから、紹介状を書く必要はないと思うんですけど、代診の医師が勤める病院へ伺ってみますか?」
「ん?」
今泉君は?と訊ねそうになり、この先生が此処の医院長なのに…と口籠る。
首を傾けて視線を向けてくる相手に冷や汗を感じ、いえ別にいいです…と断りながら、カタン…と椅子から立ち上がった。
でも。
(やっぱり彼のことを聞いておきたい!)
記念病院の内科に戻ったんですか?と確かめておこうとした。
口を開いて、あの…と再び声を発しようとしたら、私のカルテを見てた先生が「あ…」と声を出して。
「ひょっとして、君があいつの言ってたクランケ?」
「は?」
「一人慢性胃炎で通院中の患者が気になると言ってた。…ああ失敬。あいつと言うのは、代診を任せてた医師のことでね」
先生はそう言うと私の方へ向き直り、再びカルテに目線を落としながら……
「ああ、やっぱりそうか。ストレス性胃炎の可能性もあると言ってたし、多分貴女のことでしょうね。…どうします?本来は症状も完治してるようだから、紹介状を書く必要はないと思うんですけど、代診の医師が勤める病院へ伺ってみますか?」