独占欲強めな同期の極甘な求愛


「今度俺にも作ってよ」
「はい?」
「一つも二つも変わらないでしょ?」

定食のごはんを豪快に頬張りながら、澄ました顔で言う三井さん。いやいや、どうして私が友達でも彼氏でもない三井さんにお弁当を? 同じ労力を使うなら臣に作るし。

「お断りします」
「えーいいじゃん。お金払うから」
「それなら社食でお金払った方がいいと思いますよ。温かいもののほうがおいしいですって」
「そう? じゃあ試しに味見」

そう言ったかと思えば、ひょいと目の前から手が伸びてきて、お弁当箱のなかの卵焼きが奪われた。あまりに突然のことに阻止する間もなく、あっという間に三井さんの口の中へと放り込まれてしまった。

「あー! 私の卵焼き!」
「あ! うまい! 白鳥さん料理上手!」

大きな声で絶賛するものだから、近くにいた社員たちがちらちらとみていた。あーもうあまり目立つようなことはやめて。臣に見られたら本当にまずい。

「あの、本当にそういうのやめてください」
「どうして?」

どうしてって……。あーやっぱり社食になんてくるんじゃなかった。昨日のことがあったし、少しならと思った私がバカだった。ちゃんと断るべきだった。

「楽しそうですね」

満足げに咀嚼する三井さんを前に項垂れていると、今一番恐れていた声が耳に届いた。ビクリと心臓が震え身体が硬直した。