独占欲強めな同期の極甘な求愛



「私……ですか?」

不審な私を下からなぞるように見て、花笑ちゃんが恐る恐る尋ねる。

「あ、すみません急に呼び止めて。あのこれ、ハンカチ。落ちてましたよ」

言いながら差し出すと、花笑ちゃんは、ああ!と言って笑った。やっぱり何度見ても可愛い。それにこうやって正面から見るのは初めてだけど、手足だってスラッと長くて、小花柄のワンピースがよく似合っている。髪もサラサラの栗色のロングヘアーで、私とすべて真逆だと思った。

「すみません、ありがとうございます」
「いえ。それじゃ」

それだけ言うと、再びトイレへと戻る。すると、あの! と今度は私のほうが呼び止められた。

「違ってたらごめんなさい。もしかしてあなた、この前ホールで書類を落とした方ですか?」

少し不安げに尋ねる花笑ちゃん。それはこの前盛大に書類をぶちまけたあのことを言っているんだろか? あの時は二人の姿に動揺して失態を犯してしまった。花笑ちゃんはそんな私を見て笑っていたっけ。

「あ、はい……私かと」
「あ、じゃあ、都倉さんとはご友人なんですか?」
「え?」
「都倉さん、迷わず真っ直ぐあなたに向かっていったので、お知り合いなのかなーって思って」

矢継ぎ早に質問してくる花笑ちゃんに、無意識に一歩下がってしまう。花笑ちゃん、臣に興味津々なんだ。洞察力もすごければ、こうやってほぼ初対面の私になんの躊躇いもなく聞いてくるんだ。計らずともわかってしまう。