独占欲強めな同期の極甘な求愛


「あの、三井さん、そういうわけでは……」
「まぁいいけど、送るくらいなら。でもそれ以上は期待しないでね」

漫画でもあまり見かけないウインクを私に投げそう言う三井さん。今時そんなことする人いる? ちょっとドン引きしていると、行こうかと言って駅の方へと足を進め始めた。私は慌ててその背中を追いかける。

一瞬臣のほうを振り返ると、臣はちょっとムッとしたような顔をしていた。何か言いたげだったが、私は小さくバイバイと手を振ると、三井さんの隣に並んで、駅の方へと向かった。


「驚いたな~。白鳥さんはてっきり都倉くんが好きなんだとばかり思ってた」

一人勘違いしている三井さんは、まだそんなことを言っている。でも今更ただ利用させてもらっただけだなんて言えなくて、ははっと力なく笑うしかなかった。

「俺がたまたまフリーでよかったね」
「はぁ、」

たまたまって、自分で言う? だけど三井さんも意外とモテるんだってこと知った。さっきだって両手に女の子をはべらせていたし。ただのさぼり魔の先輩だとしか思っていなかったけど、女の子には人気があるらしい。

まぁ確かに細身ですらっと背が高いし、顔は何気にイケメン。目鼻立ちがはっきりとした臣とは違って、目元がシャープで塩顔といったところだろうか。

三井さんを好きな子にしてみれば、急にいなくなったことを寂しがっているかもしれない。こんな風に一緒に帰っていることを知られてしまったら、恨まれるかもしれない。でも臣に迷惑かけるよりいい。利用してごめんなさい、三井さん。