「え? なに?」
「え、駅まで送ってくれませんか?」
必死だったとはいえ、こんなことを三井さんに頼むなんて自分でも驚いた。でも考えるより先に体が動いてしまった。
臣はなんだかんだ優しい。きっと私を送ると言って聞かないだろう。だけど臣にこれ以上迷惑はかけられない。今までも陰と日向で生きてきたんだ。そのルールを破っちゃいけない。
「え? 俺? どうして?」
三井さんから当たり前の答えが返ってきた。私は彼の腕をひっぱりながら「お願いします」とだけ繰り返した。三井さん、どうか断らないで。
「厚かましいことを言っているのは重々承知です。でも、その……」
「白鳥さん、俺のこと好きだったの?」
はい?
「まいったなぁ~」
えっと、あの……。どうしてそういう展開に?
